高齢化が進む日本で「買い物難民」という言葉を聞いたことがありますか?ものに溢れていて一見豊かな日本ですが、それは断片的な話に過ぎません。そんな社会課題を解決すべく、事業のひとつとして「移動スーパーとくし丸」を手がけるオイシックス・ラ・大地。
今回お話を聞いてきたのは、いま徳島で事業拡大に奮闘する坂本さん。就活を中断して海外インターンに挑戦。2回の就活を経て、坂本さんが選んだキャリアとそこに隠された熱い思いに迫ります。
坂本 真之
・1990年生まれ
・関西学院大学卒業
・趣味はアウトドアスポーツなど
半田 藍子
・1996年生まれ
・タイガーモブの社内インターン生
ー坂本さん、お忙しいなかありがとうございます!今日は海外インターンシップから帰国したあと、どのように活躍されているか先輩に聞いてみよう!という企画です。改めてよろしくお願いします!
はい、よろしくお願いします!
ー早速ですが、ざっくりインターンシップに行こうと思った経緯から教えていただいても良いですか?
自分はもともと海外インターンシップに行こう!とかあまり考えていなかったんですよね。大学3年後期になって、みんなが就活をはじめたから自分もなんとなくはじめました。ただ仕事なんてアルバイトぐらいだし、業界や職種を絞るにも全く見当がついていませんでした。そんなもんだから考えが浅いのを見透かされたのか、最終面接で「もう少し考えて就職活動をした方が良い」と厳しい言葉を頂いたこともありました。本当に絵に描いた就活生らしく、「自分は何ができるんだろう」「自分は何者なんだろう」って苦しいぐらいに自分と向き合いました。そこからちゃんとキャリアを考えないとダメだなって思って、でも実際やってみないと分からないし・・・ということで海外インターンシップを選択しました。なかには就活浪人する方もいますが、自分は大学に籍を残しておくことを重要視していなかったので卒業してからインドに行きました。
ーその意思決定の勇気がすごいですね。タイガーモブのインターンシップは最長で1年までですが、現地の方の強い要望があって1年2ヶ月行かれたというのは本当ですか、、?
そうですね、2ヶ月延長してしまいました(笑)自分はインドに在住している日本人向けフリーペーパー誌の出版を行う会社でインターンシップをしていました。主な内容は、フリーペーパーに掲載する広告の営業です。2ヶ月延長した際に、インドの新拠点の立ち上げを任されました。そのときは営業だけでなく、事務所の物件探しから印刷所の手配、デザイン作成まで。本当にゼロからやったので、作ったものがかたちになったときの感動は今でも覚えています。
▲営業先のクライアントとの一枚
ーさらっと話されてますけど、やっぱり大変なこととか途中で帰りたいなって思ったこともありました?
そうですね、少なからずありました。でも自分は大学も卒業して、就活もやめてインドまで来ているので、途中で逃げ出すという選択肢はありませんでした。それこそ修行というスタンスだったので、大変だし辛くて当然。それでも営業で全く結果が出なくて、苦しく低迷していた時期がありました。目の前のことにいっぱいで、当時はインターン仲間に救われて持ち直したのは今でも良い思い出です。
あとは納期を守らないゆるいインド人と、元リクルートでバリバリやられていた上司の板挟みで仕事をしたのも、今考えると海外インターンの醍醐味だったなと思います。
ー「修行」と言い切るのが素敵です!ちなみ今28歳の坂本さんが振り返って、やっておけば良かったな、と思うことってありますか?
▲現地でクリケットしてる方々と飛び入りでクリケットに参加したときの様子
ありますよ〜!組織としての仕組みづくりはもっとやって帰国すれば良かったなと思っています。インターン期間中は、任されていたことも多かったので、目の前の仕事をいかに片付けるか、ということでいっぱいいっぱい。でも帰国して一歩引いてみて、会社を長期的な視野で考えると違うんですよね。会社として大きくなっていくうえで、仕組み化は必要不可欠なフェーズ。いま現地で働いている仲間のためにいかに属人的な仕事を減らしてあげる仕組みを作るか、体制化するか、が自分のやるべきことだったのではないかと思います。
そういったインターンシップ期間中の学びもあり、それこそ今では徳島の事業を拡大する、ということで日々のオペレーションを回しつつ仕組みを作っています。
ーインドからの徳島、すごい展開になりましたね!インドから帰国されたあと、徳島で今のお仕事はどうやって探されたんですか?
帰国してからの就職活動では、自分の見ている枠組みを越えてプロのアドバイスをもらった方が早い!と思い、今タイガーモブがまさしくやっているエージェントを活用しました。もともと知り合いだったので、自分の考え方を把握してくれている分、マッチングに対する信頼度は高かったですね。業種や職種にこだわりはなく、自分に合っているかどうか。自分の人生を大きな物語に例えたときに、その時々で好きなこととかやりたいことって違ってて良いと思うんです。いかにそれを極められるか、それこそ修行という気持ちでキャリアアップに繋がれば良いと考えています。間違わない選択をしなきゃっていう感覚はなくて、そのときに足りないものを補えば良いという感覚でキャリア選択をしました。
いま所属しているオイシックス・ラ・大地はエージェントで紹介してもらい、選考に進みました。選考では長期インターンへの参加が必須で、会社が自分の適性をみるのはもちろんなんですが、自分でも入社したときのギャップがないように見極める必要があります。正直インターンシップ中はあまり手応えがなく、悔しい思いをした時期もありました。それでも自分のガッツやインドでの経験を買われたのか、内定を頂きそのまま入社を決断しました。
オイシックス・ラ・大地に入社した当初は、東京本社で働いていました。入社して10ヶ月ほど経過したとき、徳島の子会社出向で社内公募があったんです。そこでここぞとばかりに立候補して、徳島に配属されました。事業が立ち上がって、拡大フェーズに入る、つまりやるべきことは山積み(笑)という環境に惹かれて。そこに興味を持ったのは、やっぱりインドでのカオスな環境で“大変だけどやりがいも大きい”仕事を実体験していたことが影響しています。
▲社内で高校生向けにイベントやったときの様子
ーいまやられていることを具体的にお聞きしても良いですか?
いまはスーパーとドライバーなどの個人事業主を繋げて、移動スーパーを展開しています。田舎はもちろんですが、都市部でも高齢者の買い物問題ってものすごく深刻なんです。いまの移動スーパーに来るお客さんの9割以上が80歳を越えるお年寄り。特に女性が多く、ちょっとした野菜や食品を買うにも、困難を強いられています。スーパーから家が遠かったり、重い荷物をもてなかったり、様々な制限があります。
女性って買い物大好きじゃないですか!それって何歳になっても一緒で、並んでいる食材と冷蔵庫に残ってる食材を思い出して「今日は煮物にしようかな〜」なんて献立を考える瞬間ってめちゃくちゃ楽しいと思うんですよね。通販みたいに注文して届ける、というサービスもありますが、今日食べたいものと、2,3日後に食べたいものって違ってたり、移動スーパーの方がワクワク感では秀でているのかな、と思います。
自分たちにとっての日常は、必ずしも全員の日常ではない。そうした障壁をいかになくしてあげるか、日常に些細なワクワクを提供できるか、が今の自分たちの仕事です。
ーとてもやりがいのある仕事ですね。わたしの祖母も地方で一人暮らしをしているので、そのようなサービスがあることは生活が楽になるだけでなく、心の拠り所になるのではと感じます!最後になりますが、いま壁にぶつかっている方やこれから挑戦される方に対してアドバイスがあればお願いします!
正直なところ、1年2ヶ月のインターンシップで培った実務スキルが必ずしも100%いきているか、というと即答できません。でもそこで出会った人であったり、学んだことであったり、仕事に対する考え方なんかは100%今に繋がっています。
今でも自分のなかで大切にしている言葉があります。それはインターン先の上司に言われた言葉で「いくら成長意欲があってもベクトルが自分に向いているうちは成長しない。目の前の相手に何ができるか、どうしたら喜んでもらえるか、とベクトルの向きを変えることで、はじめて自分の成長にかえってくる」です。インターンシップ参加の動機って、大体自己成長だと思うんですよね。ただ、もし思うように成長できなくて伸び悩んでいたら、ベクトルの向きを少しずらしてみると良いと思います。「自分」にベクトルが向いていると、結局は自分の枠を越えることができなくてもがいてしまうんです。でもベクトルを目の前の「相手」にすることで、相手の枠で考えるようになるから、自分のフィールドを超えて成長に繋がります。
そういった「気づきを得られる環境」が海外インターンだと思うし、学生のうちにその経験をしておくのは、その後の人生において必ず支えになると思っています。
▲当時のインターン仲間とは今でも交流があるという
(インタビュー後記)
インタビュー中「自分の経験なんて参考にならないですよ〜」なんて終始おっしゃっていた坂本さん。腰が低く謙虚な方ですが、こだわりがあって絶対に妥協しない姿は、まぶしいほどかっこよかったです!最後のベクトルのお話は、私自身もすごい感動して聞き入ってしまいました。わたしもタイモブの仕組み化やるぞ〜!と気合いを入れ直すきっかけになったインタビュー。改めて坂本さん、お忙しいなかありがとうございました!
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