TOP/海外インターン体験談(タイモブログ)を読む/シンガポールの体験談:トリリンガル標識 in Singapore
こんにちは。トリリンガル標識というとかっこいい名前ですが、要するに三カ国語で書かれた標識のことです。この記事では、シンガポールの文化や標識に焦点を当てながら、この国で使われる言語の特異性についてお伝えします。
① 多民族国家シンガポール
知る人ぞ知る多民族国家シンガポール。まずは、その特徴をデータ面から紐解いてみます。外務省のデータベースによると、人口547万人と小さめの国家です。シンガポールの国土面積は東京23区ほどのサイズであるが、田舎に当たる部分がなく、人口密度は非常に高いです。果たしてこの人口密度の高い国家がどう多様なのか、見ていきたいと思います。
実はシンガポールの多様性は、外国人の比率と民族のルーツにあると考えています。まず外国人の比率から見ていきます。シンガポールの全人口547万人のうちシンガポール人・永住者は387万人です。裏を返せば、残りの160万人にあたる30%のルーツは外国です。
次に、民族分布について考えます。同じく外務省の発表によると、中華系74%と一番多く、続いてマレー系13%、インド系9%、その他3%となっています。
このデータから約3人に1人が外国人であり、シンガポール人であっても、ルーツが非常に多様であることが伺えます。
② カレーデイ
次に、多様な民族国家ならではの、独特な事例を挙げたいと思います。2011年8月に明るみに出たある記事から生まれた、「カレーの日」です。
その記事の内容では、中国系シンガポール人と、隣人であるインド系シンガポール人が登場します。ことの始まりは、インド系の家からするカレーの匂いに我慢できない、とインド系を訴えます。政府による仲裁の元、インド系の隣人は中国系の隣人がいないときにのみカレーを作るということで合意をしました。
しかしこの事件が記事として取り上げられると、政府や中華系シンガポール人を非難するコメントがネット上で急増しました。
その結果中華系女性を中心とする有志の一般市民により、みんなで同じ日に家でカレーを作って食べるというイベントが提案され多数の賛同者が現れます。騒動が大きくなったことから、法務大臣が記者会見を行い、この事件が何年も前であること、合意内容は両者の話し合いによるものであることを説明しました。イベントは最終的に6万にが参加したと発表され、8月の第3土曜日をカレーの日にすることを提唱されています。
このようにシンガポールでは国民の考え方の根本として、多様性を受け入れ共存するということが身近にあり、大きなテーマであるといえます。
③ シンガポールの標識と公用語
このように多様な文化背景を持つシンガポールでは言語の多様性も非常に高いです。多くの国民が民族をルーツにした言語に加え、英語を話すことが出来ます。そのため、日常的な光景として、中国系同士での会話は英語、マレー系の友人が来ると英語に切り替えるようなことが日常茶飯事です。また、中国語での質問に対して英語での返答などもよく見かけます。日本では想像できないような光景です。
実際にシンガポール政府による国語はマレー語であり、公用語は英語、中国語、マレー語、タミル語が指定されています。そしてこれが何を意味するのかというと、標識のトリリンガル化です。
共通言語として英語が使われることが多いため、文字のスペースが狭い標識には、英語だけが使われていることも多いです。
④ シングリッシュの特徴
最後にシンガポールで話される特徴的な英語、シングリッシュについてお伝えします。シングリッシュとはSingaporean Englishに由来し、シンガポール国民が日常生活で話している独特の訛りの強い英語です。シンガポール政府は、この独特の訛りの排除に取り組んでおり、公共放送機関では使用が禁止されていますが、どこまでがシングリッシュなのかは程度の問題でもあり判断には難しいものがあります。
シングリッシュの特徴としては以下のものがあります。
・文の語尾にLah,Lehなどを付ける。日本語でいう「~だよ」のようなニュアンスを含む。
・時制の変化をあまり使わず現在形で統一されている
他にも多数ありますが、シンガポールに訪れて一番初めに気づくことはこの二点だと思います。このような標準的な英語との違いは、シンガポールがマレー人や華僑を中心とした文化圏、民族の混在した国であることが原因だと考えられます。
このようにシングリッシュは独特な特徴を持ちますが、英語話者とのコミュニケーションは円滑に行えます。英語がコミュニケーション手段の一つだということが感じられる、それがシングリッシュだと思います。
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