TOP/海外インターン体験談(タイモブログ)を読む/インドの体験談:【インタビュー】自分の「楽しい」に正直に。尾崎寛幸さん
こんにちは。タイモブの草野です。
インタビュー企画第2弾、テーマは『トビタテ!留学JAPAN*×海外インターンシップ』!
第1弾のインタビュー企画と、平行して進めてまいります。
*トビタテ!留学JAPANとは:政府だけでなく、官民協働のもと社会総掛かりで取り組む留学促進キャンペーン。2013年にスタートし、すでに5期生までを輩出。現在、累計2000人以上の高校生、大学生に奨学金を支給し、留学を支援しています。(参照:トビタテ!留学JAPAN ホームページ)
第1回目となる今回、インタビューさせて頂いたのは、尾崎寛幸(おざき ひろゆき)さん。
※尾崎さんと牛のツーショット
尾崎さんは、トビタテ!留学JAPANの3期生として、インドのデリー、グルガオンにて6ヶ月間のインターンシップを経験されました。
彼の飛び込んだ環境は、その穏やかな口調な様子からは想像できない国、カオスと表現されることの多い「インド」でした。
しっかりと頭で考えながらも、柔軟に自分の人生の舵を切っているのだろうなあ、と感じるインタビューです。どうぞ。
|| インターンシップに挑戦したきっかけとは?
もともと、将来は新興国で貧困や飢餓解決に関わりたいという気持ちがあったからです。
21世紀では、ユニリーバなどの民間企業がそういった問題の解決に大きなインパクトを与えると考えていたので、民間の立場から何かをしてみたいと思っていました。
特に、インドは様々な問題を抱えている国であるため、そこでインターンシップをしよう、と決めました。
-なるほど。でもなぜ、貧困や飢餓に興味を持ったのですか?
以前、バングラデシュの田舎へ調査に行ったことがあって、そこで貧困の現状を目の当たりにしてから興味を持ち始めました。それと同時にボランティアの手も届ききっていないような田舎にも、ユニリーバの石鹸や、外資系企業のお菓子などが普及していて、民間企業の活躍も目にしました。
そんな経緯で、貧困や飢餓問題、そして民間企業の活動にフォーカスするようになりました。
|| インターンシップについてお伺いします
-過去にそのような経験をされているんですね。ところで、インドではどのようなインターンシップに取り組まれていたのでしょうか?
インドの地場大手会計コンサルティング会社で、インターンシップをしていました。
具体的には、Japan Deskとして日本企業クライアントを担当したり、税務、会計、法務、インド進出、監査などのアドバイザリーをしていたり、インド人と日本人クライアントの橋渡しなど、様々なことに取り組んでいました。
-直接、貧困や飢餓解決に関わるインターンシップではない理由が気になります。
実は、インターンシップを決めるタイミングで、JICAのアフリカでの農村開発のボランティアにも合格して、どちらに参加しようか迷っていたんです。
決断の決め手になったのは、より視野を広げられるか否かでした。
直接、農村開発に関わるボランティアはとても魅力的でしたが、それに参加してしまったら、開発のことだけしか見られません。
先ほどのユニリーバ始め、民間企業が貧困問題の解決や国連の開発目標でも、今後深く関わっていくだろうと考えていたので、学生のうちに新興国の民間企業の活動をたくさん見ておきたいと思い、インドでのインターンシップに挑戦することに決めました。
コンサルティング会社という決断をした理由は、たくさんの企業に関わることができるからです。直接的に開発に関わる訳ではないですが、そこに就職するわけではないのだから、とりあえず半年間コンサルティング会社にいようと思いました。
-インターン先であるコンサルティング会社は、どうやって見つけたのですか?
インターン先を選定するときに、信頼できる会社が良いと思っていました。
そこで、JETROの方に話を伺い、今回のインターン先を見つけることができました。
-ちなみに、その会社は、どのような環境だったのでしょうか?
現地の大手企業です。
インド人の会計士が600人程て、日本人の会計士も4人程在籍していました。
自分のオフィスにはインド人が150人、日本人は2人いました。
すでに、インターン生も以前から受け入れていて、学生で会計士の資格を取った人が来ていたようです。
-学生で会計士の資格を取るのは大変だと聞きます。高いレベルを求められたりしたのではないでしょうか?
上司の性格的に、できないことで叱られるようなことはなかったのですが、仕事がいくらでも降ってくる中で会計や法律などの専門知識を学ぶことが必要でした。。
大学の専門も会計や法律分野ではなく、事前の知識がなかったため、仕事を振られてからその分野のことを勉強して、仕事をこなしていました。
オフィスにはそれぞれの分野の専門のインド人がいたので、最初の方はその人に質問をしてたりしていました。
-分からないのに、飛び込めるなんて尊敬します。
行ってみたら、分からないことが多かったって感じでした。笑
-なんと。笑 では、しんどいことも多かったのではないでしょうか?
確かに、コミュニケーションの取り方も日本人と違っていたりするようなしんどさはあったりしました。
でも、一番しんどかったのは、やはり専門的な話が分からなくて、無力感を感じたことです。
様々な知識を求められているにも関わらず、専門分野が分からなくて、大変でした。
※インターンシップ中の様子
-その無力感があった中で、自分を支えたものってなんだったのでしょうか?
4年間大学で部活動のテニスに取り組んでいたのですが、ぶっちゃけて言うとインドでのインターンシップよりもそっちの方が大変だったんです。笑
だから、半年ぐらい大変でも大丈夫だ、と思えました。
自分が勉強すればなんとかなる話だから、と考えられたことも大きかったです。
ー逆に、どんなところにやりがいを感じましたか?
一番勉強になったと感じるのは、法務や、規制、税、といった話を理解することで、民間企業がどのように動くのか感覚的に理解できるようになったことです。
大きな話で言うと、国の発展は法律や規制に左右されることになります。インドは言ってしまえばベンチャー企業のような政府で、意思決定のスピードが早く、法律もすぐに変更・制定されたりします。そのタイミングでたくさんの民間企業が自分の会社に相談に来るのですが、それがとても面白かったです。
例えば、僕がインドにいる間にEC(電子商取引)の規制が変わったのですが、その時、日本企業のメーカーが来て、ECサイトを始めたいという話が動きました。その話の早さは、見ていてとても面白かったです。
もともと、将来はJICAや開発コンサルで働こうかと思っていたのですが、この経験を経て、今は新興国で政策作りをしたいと、考えが変わるほど興味深い経験でした。
|| インターンシップを経た今について
-とてもいい経験をされたんですね。では、インターンを経て、どんなことが身についたのでしょうか?
国の政策や規制が市場に与える影響を感じることができるようになったのは、大きいと思っています。
しかし、一番良かったと思うのは、タフなコミュニケーションに耐えられるようになったことだと思います。
コミュニケーションが難しいのはインド人の特徴だと思います。文化の違いとでもいうべきなのか、優秀なのに、コミュニケーションが難しい。我慢強くなりました。笑
日系企業の進出のサポートをやっていたときの話ですが、インド人の専門家に手続きの詳細を聴きながら、基本的には僕の方からクライアントにアドバイザリーをするという形で進めていたんですね。
企業進出って厳しく納期が決まっていて、それを守らないと会社的に大変なことになってしまうんです。その会社の偉い人がプッシュしてくるような。笑
基本的に大きな問題なく進んでいたのですが、納期の1週間前になって必要な書類が1つ足りないことが発覚したんです。しかもその書類、準備に2週間ほどかかってしまうものだったので、とても焦りました。
どうにかしないと!と思って、インド人のスタッフにその仕事だけやってもらうようにお願いして、何とか間に合わせたのですが、そのコミュニケーションもはらはらしました。
シリアスに伝えることや、時には上司から伝えてもらったりと、どうにかして動いてもらうように働きかけるコミュニケーションの工夫をしたことを覚えています。
※トビタテの仲間との一枚
-それは大変でしたね…。そういえば、尾崎くんは私とトビタテの同期で3期生ですが、なぜ受けようと思ったのでしょうか?
きっかけは、トビタテのコミュニティが面白そうだと思ったことです。
すでに1期生、2期生とたくさんのトビタテ生がいて、その人たちが世界の様々なところにいる。そんな人たちと友達になれるのがわくわくすると思いました。
ちなみに、今感じているトビタテの魅力も、全く同じです。
インドにいる間も、トビタテ生でインドで活動している人たちと仲良くなったり、帰ってからも、東北のトビタテ生と合宿したりと、コミュニティの素晴らしさを感じています。
みんながそれぞれユニークな経験をして、話をしていて面白かったし、それがすごく良いと思いました。
また、そのバラエティの多様さと、規模の大きさもトビタテならではだと思います。
どんな話題や疑問を投げかけても、必ずその分野を学んでいる人がいるのは、とてもありがたいです。
|| 将来について
-これからの目標について、教えてください。
なんとなく決まっています。
もう就活は終わっていて、シンクタンクに内定を頂いています。そこは完全に日本の省庁が顧客にいて、政策のドラフトを作ったりしているようなところです。
まずはそこでしっかり働いて、社会保障の政策作りの日本の専門家になり、それから国際機関に行って、新興国の大まかな政策作りに関わりたいと思っています。
その経験を経たあとに、専門家として直接新興国に関われたらいいなあと思っています。
-なんとなく、遠回りのように感じてしまいますが、なぜ日本から始めるのでしょうか?
もちろん、一番最初から、新興国の政策作りに関わりたい気持ちはあります。しかし、本当にそれができるのか?と考えたときに、今のままではできないと思いました。素人の僕が行くくらいなら、現地の人がやればいいじゃん となるのが関の山です。
でもやりたい。
では、何が必要か?と考えたときに、新興国は先進国の制作を参考にして作っていることが多いので、まず日本で政策作りに関わり、その分野の専門家になってから、アドバイザリーとして行くことができるのはと考えました。
ただ、あくまでこれは現時点での道筋なので、経験していくうちに「違うな」と感じたらすぐに方向転換することも視野に入れています。
||このインタビューを読んでいる方へのメッセージ
※インターンシップの間には、こんなことも。
-なるほど、ありがとうございます。最後に、海外インターン、トビタテを目指している人に一言メッセージをお願いします!
まずは挑戦してみてください。
もちろんしんどいこともあると思いますが、きっとそれ以上に楽しいと思います。
楽しいってすごく大事です。そして、頑張った経験は力になります。
ぜひぜひ行動してみてください!
-ありがとうございました!
…
何か新しい発見、体験をして新たな価値観が自分の中に芽生えたとき、その場に踏みとどまってしまう人と、柔軟に方向転換できる人の違いは、普段からしっかりと自分について考えているか否かなんでしょうね。
幸運の女神には、前髪しかない というレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉がありますが、まさにその通り。今一度、普段の自分を見つめなおさないといけないなあと感じたインタビューでした。
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