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ベトナムの戦争を今に伝える博物館―戦争証跡博物館

大川満利絵@ベトナム
  • 2016/08/24 00:00
  • ベトナム
  • 企画・マーケティング
  • インターン中

こんにちは!ホーチミンでインターンをしているおおかわです。

 

テーマは、戦争証跡博物館について。

 

この博物館は、ホーチミンの中心部にありベトナムの戦争に関する資料や、

実際に戦時中に用いられた品々を展示しています。

 

 

 

 

◆はじめに―ベトナム戦争とは?

ベトナムの戦争、といえば、ベトナム戦争。

ベトナム戦争という単語自体、学校で習った記憶のある人が多いはず。

でも、具体的に何だったっけ?っていう人も多いかもしれません。私もその一人です。

 

なので、理解を深めるためにベトナム戦争について少しまとめてみたいと思います。

 

 

 

 

・ベトナム戦争以前のベトナム

 

ベトナムは19世紀からフランスの植民地でした。第二次世界大戦時、日本がベトナムに侵略、実効支配します。

その後、日本の敗北を受けて、ベトナム北部でソ連や中国の支援を受けてホーチミンが独立国家の樹立を宣言します。それに不満を持ったフランスが南部で傀儡政権を作らせ、南北の対立は深まりました。

対立から生じた両者の戦争(インドシナ戦争(1946-55年))で北部が勝利を収め、

ベトナムは南北に2分された状態になりました。

 

 

 

・北 社会主義陣営 VS  南 資本主義陣営

 

この戦争は、インドシナ戦争後の1960年に起こりました。第二次インドシナ戦争とも呼ばれます。

 

先のインドシナ戦争と同様、ベトナムを2分した闘いでしたが、

1960年からアメリカを中心とした連合軍による本格的な軍事介入も始まりました。

米ソ冷戦下、アメリカは名目上、アジアの共産化を食い止めるため、という理由で参戦しました。

 

結果として、1975年4月30日、北側が南側の拠点サイゴン(今のホーチミン)を陥落させ、

社会主義陣営の勝利でこの戦争は終結しました。

 

 

 

・40年前の、15年間続いた戦争

 

15年間続いたこの戦争によって、ベトナム国内では500万人もの死者と数百万人の負傷者、

アメリカ軍も30万人の死傷者を出したとされています。

この国民総力戦の結果、現在のベトナムの人口ピラミッドは

戦時中の若年層であった60歳代以降の層が極端に少ないといういびつな形をしています。

 

 

 

・枯れ葉剤の被害

 

ベトナム戦争の汚点としてよく取り上げられるのが、枯れ葉剤です。

南側陣営は、ジャングルに大量の枯れ葉剤を散布して、見通しをよくし戦闘を有利に進めようとしました。

そのため、戦争に参加していた人々の体内に有害な化学物質が入り、

その人自身や、その人の子孫に重大な悪影響が出ました。

ベトナムに住む人々、アメリカ軍に従軍していた人々などの中から、体の痛みや変調を訴える人々が次々と現れ、

戦争以降、ある体のパーツの一部がなかったり変形したりしている奇形児(双子で体のつながったベドちゃんドクちゃんはご存じの方も多いかもしれません)が生まれ始めました。

今でも抜本的な解決には至っておらず、その苦しみの淵にいる人々が多くいます。

 

 

 

 

 

 

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戦争証跡博物館HPより(http://warremnantsmuseum.com/category/objects-documentaries)

 

 

◆実際の博物館の中

 

 

それでは、博物館の中に入ってみましょう。

 

3階建てになっており、1階が戦時中の政治的資料の展示や戦争後のベトナムの発展の系譜、

2、3階が戦時中の写真や資料、軍服や軍事用品の展示などが行われています。

また、中庭には、アメリカ軍が使用した戦車が数台展示されています。

 

展示されている資料は、ベトナム側だけでなく、アメリカなどの連合国側からも提供されており、

写真も戦争中現地に入って活動したさまざまな国のジャーナリストからの提供がたくさんあります。

ピューリッツア賞を受賞した日本人ジャーナリスト沢田教一さんの写真なども展示されていて、

日本人ジャーナリストの展示部分は日本語も併記されています。

 

 

 

来ている人は、ベトナム現地の人はほとんどおらず、欧米の人が目立ちました。

 

観光サイトTrip Adviserの評価が高いことも理由の1つかもしれません。

 

展示物をじっと見ている人や、展示の前で一緒に来ている人と議論している人など、

それぞれの過ごし方をしていました。

 

 

 

 

 

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 ◆戦争の”意味”を考える

 

博物館内は写真撮影をしてもよかったので、私も少しは記録用に写真を撮ろうと思っていたのですが、

なぜかどうしてもできませんでした。

 

古ぼけた資料や、血に染まった軍服、戦争を生きた人々を捉えた写真など、

そこに置いてあるものが完結された事実で、それ以上のことは私にはできない気がしました。

 

枯れ葉剤の影響を映した写真や戦闘中の写真など中には凄惨なものもありました。

それを見て、単にむごいとか居たたまれないとかそういうことじゃなくて、

そこから何を考えるか何を学ぶかを問いかけられているような気持ちになりました。

 

 

 

日本にも戦争の歴史を今に伝える博物館はたくさんあります。

 

戦争のせいで、何かが破壊されてしまった、誰かが傷ついてしまった、

だからこういう戦争は二度と起こしてはいけない、そういうメッセージを受け取ることができます。

 

前の戦争の敗戦国である日本にとって、戦争は完全に負の歴史です。しかも風化されつつもある。

それ以外の解釈の余地は与えられていないと思います。

 

 

 

一方で、ベトナムは、ベトナム戦争において勝利を収めました。

国民一丸となってアメリカを中心とした大国に。

戦争に勝ったことで今の社会主義の安定した独立国家体制があるし、もちろん大きな経済発展もあります。

色々なものを失ったけれどそこから多くのものを得ることができた。

 

戦争証跡博物館、という名前なのに、

現在の国の繁栄を大々的に展示するブースがある意味は、そういう部分にあると思うし、

ベトナムにとって、戦争は負の側面だけでなく正の側面もあることを思い知らされました。

 

 

戦時中、ミュージシャンのジョンレノンは有名ですが、対戦国の多くの欧米の人々も広く反戦を訴えるほど、

ベトナム戦争は世界史の中でも起こすべきではなかった戦争として認識されていることが多いです。

 

歴史上の悲劇は多くの人にとって単なる悲劇ですが、当事者や違う立場に立ってみるとそうでない場合もある。

さまざまな見方を与えてくれるこの戦争証跡博物館はとても興味深いと思いました。

 

 

入館料も1万5,000ドン(75円)と、とても安いので、機会があれば皆さんも足を運んで自分の目で見てみると面白いかもしれません。

大川満利絵@ベトナム

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