(後編)若手人材育成の一環として、海外インターンシップをご活用頂いたハウス食品グループの研究所R&D海外研修担当の大野裕子さんと、3ヶ月間に渡るベトナムでのインターンシップに挑戦して頂いた田島祥太さんに、研修を実施した背景や渡航前後の変化についてお話をお伺いしました。
※前編はこちら。
徹底的に向き合うことで、お互いの「基準」を変えていく。
ーベトナムインターンシップの内容を簡単に教えてください。
日本のベンチャー企業が経営する、日本文化を発信するカフェで、メニューの開発や店舗運営のマネージメント、イベントのプロモーションを主にしていました。インターン先企業にはベトナム人と日本人どちらも働いていましたが、ベトナム人マネージャーが店舗全体の運営を仕切り、私はキッチンを仕切る役割を担っていました。
仕事の中で、一番大切にしていたことは衛生面です。マニュアルなどでは、文化や価値観の違いもあり、意図を伝えきれないことも多いです。このため、まずは掃除とは何ぞやというのを自らの行動で伝えました。これにより、現地の方が率先して動き、ベトナムの飲食店では考えられないほど衛生的な環境を維持できるまでになりました。彼らの基準が変化したことを嬉しく思いました。
また、インターンシップの3か月間はできるだけ現地の方と一緒にいることを意識していたため、平日の仕事の後はもちろん、休日も現地の方と食事や旅行に行ったりしていました。現地の方の習慣・文化をだいぶ理解することができてきたので、彼らの行動がどのような意味をもっているのかを常に考え、状況に応じて柔軟に対応出来るようになりました。
自分が作った物が、目の前で売れるという喜び。
ーインターンシップでやりがいを感じたことを教えてください。
自分が作った製品が目の前で売れるという感動です。日本にいた時の職場では、国内外の製品(カレールウ)の開発に関わっていましたが、事業規模も大きいので、ここ最近では現場で「製品が売れる」という感覚が薄くなってきていました。そのような心境で、ベトナムに行って、自分で商品を企画して、材料をすべて集めて、仲間と一緒に作って、販売するところまで経験すると、利益が例え1万円であっても嬉しいなと純粋に思いました。その感動は忘れられないですね。
ーインターンシップ後、価値観や考え方の変化があれば教えてください。
製品に対する想いが明らかに変わりました。以前は自分の仕事が製品を作る一部分でしかなかったですが、ベトナムでは最初から最後まで自身で担当していたので、製品一つ一つに対する想いの深さ・重みががらりと変わりました。
ベトナムのことを会社の中で1番知っている人間になれた。
ー海外インターンシップ研修を実施してみてどうでしたか?
(大野さん)正直、この研修では即物的な指標の達成は求めていません。まだ、彼の変化についてレビューできるほど時間も経っていませんし…。でも、そこがこの研修の良いところだと思っています。この研修が終わったから何ができるようになりました!というものではなく、その3年後、5年後、10年後に、この研修に行ったことによって蓄積した何かがその人の仕事や人生にスパイスを添える、他の人が思いつかないようなことを思いつく等、そういう風に生きてくると良いなと思ってます。あまり短期的な結果は求めていないです。あれが契機で自分の人生が変わったなあというのは、後から考えるものでその時は気づかないと思うんですよね。
ただ、ハウス食品の開発研究所の中でベトナムのことを一番知っている人になってきてほしいと言ったことは叶えてくれたかなと思っており、とても嬉しく、誇らしく思っています。彼のような経験をした人が現地で企画に携わるということで、ハウス食品グループが今までにしてきた取組みに、全く違う文脈が加わることになり、ますます幅が広がると考えています。現地のコミュニティとも繋がりがある田島さんがベトナムに駐在するというのは非常に意義があることだと考えています。
この研修に短期的な結果は求めていないと言いましたが、こうやって思い返すと田島さんはたしかに行く前より成長していますね。改めてタイガーモブさんでのインターンシップを選んで良かったです。
(田島さん)海外駐在で製品企画というとやはり不安が大きいですが、私の場合、3ヶ月間ベトナムでのインターンシップに挑戦するという前段階を挟み、企画から実行まで全てを経験したので、スムーズに気持ちの整理ができ、今の仕事に繋がっています。
(大野さん)企画はモノを作るのではなく、コンセプトや概念を作る仕事なので、やはりお客様の文化、哲学、思想を裏付けるもの等に至る深い理解は大切であり、そういう意味では、ベトナムの方の中に飛び込んで一緒に色々な経験をしてきたというのは田島さんがこの後ベトナムで仕事をしていくにあたって、ものすごいアドバンテージだと思います。
(田島さん)弊社の駐在員の中で滞在期間は一番短いですが、ベトナム料理を食べた経験・頻度は負けていないと思います。
(大野さん)こんなこと考えているんだけれどぶっちゃけどうよ?と聞ける地元の友達がいることも素晴らしいですね。
(田島さん)インターンの時に一緒に働いていたメンバーは同世代が多く、褒められるというよりは、怒られるという方が多くて、「それはベトナムでやったらマナー違反ですよ」とか、「それは日本人よくやるけど本当はだめですよ」と率直に言ってくれます。その情報は、本当にありがたくて、社内ではなかなか聞けない情報なので、今後も現地の方々との繋がりを太く、大きくして、社内外問わず、情報収集していこうと思っています。
インターン帰国後1ヶ月後にベトナム赴任確定へ。
ーどのようにベトナム赴任が決まったのですか?
急な話でした。ベトナムから帰ってきて、すぐのタイミングで、異動の辞令をもらいました。ベトナムでやってこられたという自信もありますし、友人もいるので、ベトナムへ行くということに対しての驚きや不安は無かったのですが、まさかこのタイミングで、と言う点では驚きました。一番驚いていたのは、現地の友人で、当分会うのも難しいねと言ったばかりなのに、こんなにすぐ戻ってくるとは・・。連絡する時もちょっと一呼吸置きましたね。インターン先と今の職場が近いので、彼らとは今でも仲良くさせて頂いています。
ー現在はどのような業務を担当されているのですか?
製品の企画を担当しており、製品コンセプトの立案から製品開発・生産まで、一連の業務に携わっています。日本でやっていた頃と比べると間違いなく業務の幅は広がっています。
ー今後の抱負を教えてください。
今までの経験を生かし、ベトナム発のアイデアでベトナムの新しい市場を作っていきたいと思います。
—有難うございました!田島さん、そして御社の益々の発展を期待しています!
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