TOP/海外インターン体験談(タイモブログ)を読む/ベトナムの体験談:相手から「逃げない」営業を | ベトナム営業インターン体験談
日本人向けフリーペーパー「月刊L.I.V」で約7ヶ月間営業のインターンを行った芳澤です。
大学4年次の秋学期から1年間休学して、ベトナム・ホーチミンに渡りました。
今回はその振り返りを投稿します。
■これまでの就活状況・背景
2016年3月〜2017年8月まで、OB訪問で魅力的な人と出会ったことや「仕事内容が面白そう」との理由から、広告系を視野に入れはじめる。また洋服が好きだったというミーハーな理由から、繊維商社も検討。2つの業界を中心に就職活動を行っていた。
会社に入ってみなければ「自分が本当にやりたいことなのか」、「夢中になれるのか」を理解することは難しいと考えていた反面で、自分は周りに流されやすい人間だった。そのため、このまま希望の業界に就職してもただ何となく毎日を過ごしていくような気がして、就活中も漠然と「このままでいいのだろうか…」と思っていた。しかしそんな心配も虚しく、志望動機の弱さから希望した企業は全滅。
その後、何となく受けたIT・ソフトウェア系の会社に内定するが、特にこれがやりたいといったことではなかったので、このまま会社に入ってしまっていいのかと考えていた。ちょうどその時に、海外インターンや「L.I.V」の存在を知った。
高校時代、本気で頑張りたいと思ってバスケットボール部に入部したが、周りの目を気にして自分の思い切ったプレーができずに不完全燃焼に終わってしまった。また私生活や就職活動では周りを頼り切ってしまうなど”自分に自信がない”というのがコンプレックスとしてあった。そのため、自分自身のどこかで漠然と”成長”したいと考えていたのかもしれない。
そして海外インターンや「L.I.V」のことを知って、自主的に行動し、様々な人を相手に結果を出すことが、自分にとって納得できる”成長”の形なのではないかと考えた。
■「L.I.V」のインターンに参加した目的
自主的に動き、結果(=売上を上げること)を出すことで、自分に自信を付け成長するため。
‘’成長’’という言葉は都合よくとても曖昧だ。だからこそ、結果を出すことを目的とし、どんな場所でも結果を出せる人間になろうとした。
曖昧ではあるが’’成長’’は人と関わることで達成できることだと考えていたので、人対人のコミュニケーションが鍵を握る【営業】かつ、多業界・異業種の人と接する機会に恵まれている【フリーペーパー】。この2点が、魅力的に映った。
また、「海外へ行くなら英語で営業でしょ!」とも考えたが、営業力の基礎力は皆無。まずは営業力を身に付けたいと考え、【日系向けの営業】がメインである「L.I.V」を選んだ。
「L.I.V」の荘(そう)社長が最初に言っていた「就活はただの流れ。自分が成長できれば流れなんて気にせずどこでもいける」という言葉が非常に印象的で、自分もこのまま環境に流されるのではなく、まずは”成長”したいと考えた。
■「L.I.V」で担当した業務内容
*営業に関するもの
・新規クライアント開拓
-飲食、サービスなどのBtoCクライアント…8割
-工業、オフィス系のBtoBクライアント…2割
・既存クライアントのフォローアップ
-広告デザイン変更の際は、要望をヒアリング。よりよい提案を行う。
-巻末クーポンに掲載する内容の更新、人材募集ページに掲載する原稿の更新。
-「現状の広告効果に、はたして満足されているのか?」を徹底的にヒアリング。
-掲載料の集金
・特集ページの営業
-その月ごとに巻頭特集が組まれており、テーマと関連性の高い飲食店や小売店などがあれば、特集内にも出稿していただけないか提案する。
*営業以外での業務
・広告、そのほか読み物コンテンツページの内容を社内デザイナーに発注。
※ホーチミンエリアにおける各読み物コンテンツページの取材・撮影も自ら行っていた。
(取材例)
-ベトナムで働いている日本人男性・女性
-ベトナムのローカルフード紹介、おすすめのカフェ紹介
-日系飲食店(クライアントであることが多い)の料理紹介
-ホーチミンで起こった新しい出来事や、ニュースの紹介
*そのほか
・メール対応
・日報の提出
・完成後の「L.I.V」本誌を、各クライアント先へ配送
・クライアントから掲載料の集金
■営業について
最初の3週間はハノイで暮らし、社長との同行やロープレを通して営業や業務についての研修を行う。その後6ヶ月間はホーチミン営業担当となり、新規クライアント開拓を中心に広告契約受注の営業を任される。
ホーチミンの担当は私1人だったため、新規契約が取れないなど下手をすれば「L.I.V」のホーチミンページは真っ白になる。また「L.I.V」の顔として1人でホーチミンを任されることは、“わくわくする”より、プレッシャーに弱い自分にとって“責任”の方が大きかった。
ハノイ在住の社長は、月のうち1週間程ホーチミンに出張している。その際は私も営業に同行し、実践的な営業手法をしっかり目に焼き付けて学ぶ。
1日の流れはその日によって違うが、基本は10:00~17:00はテレアポ、飛び込み訪問、アポイント訪問など。そのほかの時間も、随時メール対応などを行う。
ノマドスタイルを採用している「L.I.V」にはオフィスがなく、同じ空間で作業をする社員はいない。しかし自宅だと気が緩みがちになることを懸念し、「カフェで作業する」と決めるなど自己管理も意識した。
1日平均4件がノルマとなっており、まだ契約のないサービス系やオフィス系のクライアントに訪問し、契約していただけるようにアタックを続ける。
クライアントに訪問したら、まず最初に媒体説明を行う。これは相手によって響くポイントが違うので、一辺倒な説明では意味がない。相手の求めていることが何なのかを察し、“それを解消するお手伝いが「L.I.V」ならできる”ということを、分かりやすく相手に合わせて伝えることが肝心だ。
ベトナムのフリーペーパー業は盛んで、邦人向けの媒体だけでも5〜6誌以上は存在する。その中でも「L.I.V」は創刊して1年の後発組だ。競合では20年の歴史を持つ媒体もあり、営業先では必ずそういった名前が挙がってくる。
もちろん、初回の訪問では契約には至らないケースがほとんど。そういった競合の存在や、他誌との兼ね合いについてネックに思っている部分があるからだ。そのため、1度断られたから終わりではなく継続的に通い続けることが必要になる。
「既存の広告について、今不満に思っていることはないか?」、「もっと集客効果の高い、意味ある広告を打ち出そうと思ったことはないか?」…など、そのお店や会社について徹底的にヒアリングし、提案を通して「L.I.V」なら親身になってくれると思ってもらうこと、そのための関係性を作ることが大切になってくる。
そのような営業のやりとりの中でも、私は相手から”逃げないこと”を意識した。私は人前で何かを話さなければいけないと意識すると緊張してしまう性格だったため、完璧に覚えてきたつもりだった媒体説明も初回のクライアント訪問時には、いざ喋ろうとすると緊張して何を喋っていいか分からなくなってしまうほどだった。
飛び込み訪問時も「今のタイミングで飛び込んでしまっていいのだろうか」、「いきなり訪問して何を話そうか」と迷ってしばらく店の前で悩んでしまったこともあったが、とにかくまず逃げずに立ち向かうこと、そしてその環境に慣れるということを意識した。
“習うより慣れろ”を意識して、検討中であったり2ヶ月連続で契約を断られたクライアント先でも、訪問を続けた事によって新規11件の契約受注、月ごとの売上目標も達成することができた。
■困難だと感じたこと
・自分で考え、行動すること
1日のスケジュール、クライアントの訪問先、オフィスがなくどこで作業をしていてもいい、会社の人もいないため何時に起きても何時まで作業してもいい(基本規則はあったが)、など、特に縛られることなく良くも悪くも自由な環境。どの行動においても「こうしておけばいい」というマニュアルがないので、「正解」を求めがちな自分にとって、何を基準に行動したらよいのかの判断が難しかった。
そこで導き出した自分なりの「正解」は、契約数や売り上げといった数字=「結果」を出すことに尽きるということ。そのためには今何をしておくべきなのかを自分で考え、自分自身の行動を管理する必要があった。
・時間管理
今までは多くのタスクを行う経験も乏しく、複数のことを同時に行うのが苦手だった。そんな自分にとって、1日4件以上の訪問ノルマ、メール対応、営業以外のコンテンツ取材など、日々の業務は想像以上にハードだったといえる。
その感覚に慣れず、つい作業を後回しにして溜めてしまうなど、行動が遅く注意を受けることが度々あった。
また雑誌という性格上、締切日があることでそこから逆算して行動する必要がある。今は以前よりも締切日を把握できるようになったが、目の前のことをとりあえず片付けているだけで、余裕をもって終わらせたり、自分以外の人間のスケジュールにも配慮した進行を心がけることについては、まだ課題が多いと感じる。
・相手のことを考えた行動をすること
営業先とのやりとりや、社内での業務分担、進行などにおいて、自分は自分の仕事で精一杯になっているため「周りの人のことを考えられていない」と度々指摘された。人のことを考えられないということは、クライアントが「今何を欲しいか」にも気づけないという、営業として致命的なダメージにもつながってしまう。クライアントの要望に先回りして気づくことができなければ、決して契約には繋がらない。
■インターンを通して得たこと
・自信がついた
目に見える売上を上げ、目標を達成できたこと。
異国の地でも“営業の一戦力”として尽力し、数字を伸ばすことに貢献できた。これは自分自身の最課題であった「自信をつける」という点において、とても大きな効果があったと思う。
また、同世代としか繋がりがなかった従来の生活を抜け出して、クライアントとの関わりを通じて「歳上」や「年配世代」など様々な人との関わりが持てたこと。
彼らとのコミュニケーションの中で、普段は知りえない人との会話が生まれた。それにより自分のキャパシティも広がり、今後どんな環境でも頑張れると思えるようになった。
・いい面だけでなく自分の課題点が多く見つかった
時間管理、業務の効率化、物事をもっと考える必要があることなど、営業や日々の業務を通して自分の弱点が多く見つかったこと。
この約半年ですべての課題を克服できなかったことは問題だが、自らの弱点を考える良いきっかけになったと思う。この気づきが得られたことをポジティブに考え、今後の人生においても反省と改善の努力を忘れないようにしていきたい。
・海外インターンで、同じような心持ちの人や、様々な思いを持つ人と出会えた
就活においてインターンを経験する学生は多いが、「海外インターン」はハードルが高いのも事実だ。楽しそうなイメージもあるかもしれないが、実際は激務に終われ、日常を楽しむ余裕が持てなくなることも多い。そのような厳しい環境に身を置く者同士が同じ境遇の仲間を見つけ、互いに励ましあい、成長に向けて切磋琢磨し合えたこと。
これは、日本でインターンをしていたら決して成し遂げられなかったことだと思う。
生活面、言語、治安…など数え切れないほどの不安が海外生活には付随するが、そういった環境だからこそ、人間同士の助け合いやコミュニケーションの大切さにも気づけたような気がしている。
芳澤翔太
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